教室の研究
分野の特色 |
個体の生命現象は、生体内恒常性を維持するために、生体内物質を生成・分解、変化・修飾、集合・分散させるなどの法則性のある多くの化学反応に基づいて行われている。当分野では、この恒常性が破壊されるメカニズムすなわち疾病発症機構を解明し、さらにその保護手段を開発・応用することを目的に分子レベルの研究を行っている。医学教育では、細胞生化学、遺伝生化学、基礎栄養学、基礎消化器学、基礎神経学、基礎生物学、基礎医学実習等の講義・実習を担当している。 |
分野での主要な研究テーマとその取り組みについての説明 |
当分野では病態研究,治療研究を,相対細胞生物学/相対生化学 の視点から行っている.
認知機能低下,うつ様症状(活動性低下)とミクログリアに関する研究.←New ! 認知機能低下やうつ様症状は,アルツハイマー病・レビー小体型認知症等の認知症性疾患,狭義のうつ病(大うつ病)だけでなく,敗血症,感染/炎症性疾患,ビタミン欠乏症などの全身疾患や一般老化に伴って高頻度に出現するいわば「Common Disease」ともいうべきものである.これらに共通する発症メカニズムとして,主にミクログリアの役割に焦点を起き研究を行っている.これまでに,ミクログリアに発現誘導されたシスチン/グルタミン酸アンチポーターと認知機能低下,うつ様症状について成果が上がってきている.科学研究費補助金 基盤研究B,挑戦的研究(萌芽)を受けて進行中の研究プロジェクトです. HP用Fig-3.pdf (0.62MB) 解説 →ミクログリア活性化に伴う認知機能低下・うつ様症状
シスチン/グルタミン酸交換系トランスポーターと炎症性腸疾患・肝疾患に関する研究 (2022.10.一部更新) ①DSSを用いた炎症性腸疾患モデルにおけるシスチン/グルタミン酸アンチポーターの関係についての研究 ②NASH, IFALDに代表される肝疾患モデルにおけるシスチン/グルタミン酸アンチポーターの関係についての研究 酸化ストレス関連分子と脳神経疾患・精神疾患に関する研究 ① パーキンソン病など中枢神経系疾患における神経細胞死と酸化ストレス パーキンソン病,アルツハイマー病,ハンチントン病など各種神経変性疾患の病態に酸化ストレスが関与していることは古くから知られている.疾患モデル培養細胞,疾患モデルマウスを用いて神経細胞死と酸化ストレスの関係,および細胞保護(抗酸化,非抗酸化)の研究を行っている. HP用Fig-1.pdf (0.98MB) 解説 → ビタミンE同族体トコトリエノールによる抗酸化能によらない細胞保護メカニズムの研究
パーキンソン病では病初期にカテコールアミン代謝が存在する細胞を中心に神経細胞死や病的タンパク質蓄積が観察される.我々はドパミンなどカテコールアミンが存在する条件下では127Met残基が酸化修飾されてメチオニンスルホキシドに変化しやすいこと,また周辺のアミノ酸配列がその酸化修飾に重要であることを明らかにした.現在,神経細胞死への関連のみならず,細胞間のα-synuclein伝播への関与も検討している. HP用Fig-2.pdf (0.97MB) 解説 → α-synucleinのMet酸化修飾はドパミン神経特異的な脆弱性に関係している
③ 神経変性疾患における細胞内タンパク質凝集・病原タンパク質の細胞間伝播についての研究 ④ 内在性抗酸化物質活性化による神経変性疾患治療に関する基盤技術の創出
酸化ストレスの細胞極性に対する作用に関する研究 ②酸化ストレス障害モデル動物を用いた組織および細胞の極性変化の生化学的・形態学的手法を用いた検討と細胞内シグナル伝達経路の解析。 ①培養上皮細胞を用いた創傷治癒モデル、三次元培養系を用いた上皮細胞塊の極性形成過程に対する抗酸化物質の作用の検討。 敗血症性ショックの抑制と治療に関する研究 |